小さすぎる靴
足を小さく見せるための靴というのは古来より貴族階級などで見られました。代表的なのが、中国の纏足です。ここまで極端なことは現代においてありませんが、小さい足が女性美であるというイメージは未だに根深いものがあります。そのため、無理して小さめの靴を履く若い女性が後を絶ちません。人間が歩行する時、踵からついてつま先が離れるまで、荷重点が移動していきます。その際に足は靴の中で前後に動きます。 靴というのはこの動きをあらかじめ考慮されて作られています。いわゆる捨て寸というものなのですが、小さい靴に足を入れるということは、この捨て寸ぎりぎりまで足趾を入れるということです。当然、足が動くときの行き場がなく、歩きにくいのはもちろん、足趾と爪を圧迫します。靴のアッパーによって爪に下向きの圧力がかかり、地面からは足趾に上向きの圧力がかかるわけですから、爪が埋没する方向に力がかかり、巻き爪になっていくことになります。
また、これはハイヒールなどファッション性の高い靴にも同様のことが言えます。ヒールが高ければ高いほど足はつま先側に前滑りしますから、サイズが合っていたとしてもつま先にかかる圧が高く、巻き爪になる可能性は高くなります。
大きすぎる靴
小さすぎる靴や、ヒールの高い靴は主に女性に多いケースですが、大きすぎる靴というのは男性に多いケースとなります。小さい足が女性らしさとしてとらえられているのとは反対に、大きい足が男性としての力強さとして捉えられてきました。また、それとは関係なく、特に日本のような靴の脱ぎ履きの多い文化では、いちいち靴ひもをほどいたり結んだりする習慣があまりなく、結果として大きめの靴を買って靴ひもを結んだまま履くというケースも非常に多い現状があります。
靴が大きすぎると、今度は足が靴の中で不安定になり、大きく動くようになってしまします。このような不安定な足場になると、足は地面をしっかり掴もうとします。ちょうど砂浜を素足で歩くように。こうなると、足趾は屈曲し、つま先は地面を向きます。そのつま先に地面からの圧がかかってくることで、爪の生育方向とは反対の力がかかり、爪が肥厚したり、巻き爪となってしますのです。
これに関しては、柔らかすぎる靴でも同様のことが言えます。靴はある程度のしっかりとした硬さがあることで、足をホールドし、支持してくれます。柔らかすぎるとこの支持機能が弱くなり、結果、大きい靴を履いているのと同様の不安定さを足が感じ、足趾を曲げて歩くようになるリスクが生まれます。
以上のように小さすぎても大きすぎても足には良くありません。
これは何も巻き爪だけのことではなく、外反母趾、扁平足、開帳足などなど様々な足のトラブルを生む元です。
とはいえファッション性の高い靴を履きたいという気持ちもあって当然です。普段履く靴は足に合ったものを選び、休日遊びに行くときなどはオシャレな靴を履く等、ケースベイケースで柔軟に靴を選んで楽しいシューズライフを送りましょう。
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